ワクチンについて(最近の話題)
本来、感染症などの病気は自然にかかって免疫を作っていくことが大切です。 しかし、感染症(病気)の中には髄膜炎などのように症状が重く障害を残したり、死の危険があるものもあれば、 水痘、おたふくかぜ、B型肝炎などのように後遺症を残してしまうものもあります。 このような中、近年日本でもワクチンの種類が増え、様々な感染症がワクチンで予防できるようになってきました。 「ワクチンで予防できるものはワクチンで」という考え方が大切です。
ワクチンにおける最近の話題を紹介します。

不活化ポリオワクチン追加接種について
以前(2012年)までは、ポリオワクチンは口から生ワクチンを2回飲んで
いました。
しかし、生ワクチンではごくまれに、ワクチンによりポリオ(小児まひ)に
かかる患者さんが出てしまうことが問題となり、2012年より現在の注射の
ポリオワクチン(不活化ポリオワクチン)に代わりました。
不活化ポリオワクチンは副作用のない優れたワクチンですが、効果が持続しないという問題があります。
その効果は一般に5年から10年で効果が落ちてくることが知られています。
このため、その時期に再度、ワクチンを接種することが推奨されています。

現在、日本ではポリオ(小児まひ)の患者さんはほとんどいませんが、「アフガニスタン」「パキスタン」「ミャンマー」などでは現在でもポリオにかかる患者さんが出ています。
この国々から日本に1年間に約4万人の方が訪れています。
いつ、ポリオが日本に持ち込まれてもおかしくはありません。
ポリオ(小児まひ)は感染し重症化すると手足のまひや呼吸不全などがおこり、後遺症として残ることがあります。
残念ながら現在治療法はなく、予防(ワクチン)をすることしかできません。
自分の身は自分で守るためにも、不活化ポリオワクチンの追加接種を考慮していただきたいと思います。

現在の予防接種の制度では追加接種は任意接種となるため有料となります。
接種時期は、標準的な接種をされている方(4回目の接種が1歳)は年長(4-6歳)の時期に追加接種をすると効果が持続するとされています。

おたふくかぜワクチン
昔からあるワクチンですが任意接種(有料)ワクチンのため広く接種されていません。
また、保育園などでしばしば流行があります。
おたふくかぜには感染により引き起こされる「おたふくかぜ難聴」が1000人に1人と高頻度にみられることがしられています。
一度難聴(耳が聞こえなくなること)になると今の医学では一生聴力は戻りません。
このため、ワクチンで予防していくことが大切です。
免疫を強固なものにするため日本小児科学会では1歳と年長の時(5-6歳)との2回接種を推奨しています。
予防できる合併症から身を守るためにもワクチンの2回接種を考えてみてください。

日本脳炎ワクチンについて
日本脳炎はデング熱やジカ熱と同じように「蚊」に刺されて感染する病気です。
最近は衛生状態も良くなってきたため、周囲に感染者がでた話は聞かないかもしれません。
しかし、最近でも下記の様に小児での感染例がみられています

2006年 熊本 3歳児  
2009年 熊本 7歳児 高知 1歳児
2010年 山口 6歳児  
2011年 沖縄 1歳児 福岡 10歳児
2013年 兵庫 5歳児  
2015年 千葉 11カ月児  

この子ども達の多くは日本脳炎ワクチンをしていませんでした。

日本脳炎は感染しても発病するのは100~1000人に1人程度とされています。
しかし、いったん発病すると治す薬はなく、10人に2~4人は死亡し、回復してもその半数は麻痺などの後遺症を残す重い病気です。
現在、日本における日本脳炎ワクチンの標準的接種時期は3歳になってからとされています。
しかし、特に西日本で3歳未満の子ども達が感染している状況から、日本小児科学会は流行地区の子ども達は早期に免疫をつけるために生後6カ月からの日本脳炎ワクチンの接種を推奨しています。
熊本県は日本脳炎に感染したブタが60%と高い割合を占めています。(ブタは感染しても症状が強く出ません。)
日本脳炎に感染したブタを刺した「蚊」からヒトに感染するため熊本は子ども達が日本脳炎に感染する可能性が高い地域です。

このため、当院でも6カ月を過ぎたお子さんに日本脳炎ワクチンを勧めています。

B型肝炎ワクチン
2016年10月から1歳未満のお子さんは定期接種(無料)になりました。
日本では、B型肝炎ウイルスの感染者は約100万人(約100人に1人)と推定されています。
B型肝炎ウイルスに感染し、慢性肝炎になると長期にわたる治療を要し、最悪の場合は肝硬変や肝臓がんなどの命にかかわる病気を引き起こします。
もともと血液や精液を介しての感染が知られていましたが、最近では唾液や鼻水等でも感染することが分かってきました。
平成14年には保育園での集団感染がおきました。特に乳児期にB型肝炎ウイルスに感染すると慢性肝炎のリスクが高くなってしまいます。
このため保育園に入園前の1歳未満でのワクチン接種が勧められています。
B型肝炎ワクチンは、3回接種します。

接種間隔は
1回目と2回目の間隔は4週間
1回目と3回目の間隔は20週~24週間
です。

ロタウイルスワクチン
現在、ロタウイルス感染症を予防するワクチンとして、ロタリックス(1価ワクチン、2回接種)、ロタテック(5価ワクチン、3回接種)の2種類があります。
ロタウイルス胃腸炎は、乳幼児に多く起こるウイルス性の胃腸炎で、衛生状態に関係なく世界各地で感染がみられます。
ロタウイルス胃腸炎の多くは突然の嘔吐に続き、白っぽい水のような下痢を起こし、発熱を伴うこともあり、回復には1週間ほどかかります。
症状としては脱水症状をおこし点滴などの治療が必要な場合も多く、腎不全、脳炎・脳症などを合併することがあり、症状が重く脱水が強い場合は入院が必要となることがあります。
発症は冬~春に多く、生後3~24ヶ月の乳幼児が感染するため、保育園などで流行し多くのお子さんが苦しんでいます。
保育園等の集団生活を始める前に是非接種しておいてほしいワクチンです。
ワクチンをすることで、ロタウイルス腸炎にかかったとしても非常に症状が軽くなるため、子供の負担を軽減することができますし、ご家族の看病の負担も軽減されます。
また、育児休業終了後の仕事復帰の際に仕事を長期に休むことも少なくなります。
しかし接種できる期間がとても短いので、お子さんが生まれたらできるだけ早めに医療機関に御相談下さい。
どちらのワクチンも生後6週から接種をはじめることができます。
初回接種は遅くとも生後3か月半過ぎ(生後14週6日)までに受けましょう。

MRワクチン(麻疹・風疹混合ワクチン)
このワクチンで麻疹と風疹を予防できます。
麻疹
麻疹はウイルスの空気感染によって起こる病気です。感染力が強く、予防接種を受けないで感染機会があると必ずかかる重い病気です。
発熱、せき、鼻汁、めやに、発疹を主症状とします。
最初3~4日間は38℃前後の熱で、一時おさまりかけたかと思うとまた39~40℃の高熱と発疹が出てきて診断がつく病気です。
高熱は3~4日で解熱し、次第に発疹も消失します。しばらく色素沈着が残ります。
麻疹(はしか)にかかると、気管支炎、肺炎、中耳炎、脳炎なども一緒にかかることがあります。
予防接種を受けずに麻疹にかかった人は、数千人に1人の割合で死亡しています。

風疹
風しんはウイルスの飛沫感染によっておこる病気です。潜伏期間は2~3週間です。
軽いかぜ様症状ではじまり、発疹、発熱、後頸部リンパ節腫脹などが主症状です。
そのほか眼球結膜の充血もみられます。発疹や発熱は約3日間でなおることが多いため「三日ばしか」とも呼ばれることがあります。
妊婦が妊娠早期にかかると、先天性風しん症候群と呼ばれる心臓の奇形、白内障、聴力障害などを持った児が生まれる可能性が高くなります。
このため妊娠可能年齢の女性をはじめその周りにいる家族にも接種が勧められています。
また妊娠している方へはワクチンが接種できませんので、免疫のない女性へは妊娠前の接種および赤ちゃんを産まれた直後の接種も勧められています。
この先天性風疹症候群はワクチンで予防できる病気です。将来生まれてくる子どもたちのために、きちんとワクチンを接種しましょう。
また麻疹は1歳代にかかり致死率の高い病気ですので、1歳になったらなるべくはやく麻疹風疹混合(MR)ワクチンを受けるように努めましょう。

定期接種は
第1期:1歳児
第2期:小学校入学前1年間の年長児の小児に接種します。